プレートの沈み込みに伴って地震活動や火山活動が発生します。また、異常気象により水害や土砂災害が発生し、人々の生活は脅かされます。さらに、異常乾燥や異常渇水も発生します。これらの「大地の慄き」に対して、私たちはさまざまな対策を講じなければなりません。対策の中で重要な役割を担うものの一つが土木技術です。土木技術(シビル・エンジニアリング・テクノロジー:CET)によってさまざまな災害対策を行うことは、我々の生活を守ることの第一歩であり、ひいては文化を守り・育むことの基本となります。そして、さまざまな防災対策を行う上で、その安全性・確実性を向上させるために、今後起こりうる災害を未然に防ぐにはどのような対策が必要であるかを検討するために、地質調査が必要となります。私たちは地質調査事業、地質学に基づいた高度な調査・解析を行ない、それらを継承しながら、これらから得られる結果や情報を地球的(ジオ感覚的)視野で見つめることの重要性及び将来性を感じながら、逐次業務の拡大を図っています。
地質科学と周辺工学との融合を図ることによって、地質・地盤情報関連の新たな活動分野が開かれるであろうとの観点から、私たちは地質・地盤情報の利活用に関する事業を展開します。自然災害などの「大地の慄き」を理解し、各地域において適切に対策されることが望ましいと考えています。
20世紀は「戦争と革命の世紀」と言われました。では、21世紀はどうでしょうか?「資源・エネルギー、食糧・水への希求の世紀」になるのではないでしょうか。資源・エネルギーの確保は、社会生活に欠かせない安全の基盤をなすものです。地質学的、地球物理学的な調査・解析が最終的で包括的なものではないにしろ、この難問に一定の処方箋を与えてくれます。これらを少しずつ、地道に積み重ねていくことが大切であると考えます。
地球温暖化に対する懸念が提起されて久しいですが、恐ろしいのは地球が温暖化することだけでなく、寒冷化する可能性もあることです。寒冷化は大規模な乾燥化を必ず伴います。温暖化あるいは寒冷化という気候の大きな変動による影響を受けて、全世界70億人弱の人々が食糧や水に困ったら一体どのようなことが起こるのでしょうか?ローマクラブによる『成長の限界』という恐ろしい21世紀の予測は、今後どうなっていくのでしょうか?私たちは、地球惑星生命科学の手法を用いて、この困難な問題に取り組む一助となりたいと考えます。
日本では古来、農業や林業などに伴う人々のさまざまな働きかけを通じて、里地・里山特有の環境が作られてきました。この生活環境は技術であり、文化でもあります。私たち日本人はこうした生活環境に近い、身近な自然の恵みを享受しつつ、自然を維持していく文化伝統やシステムを育んできました。私たち日本人は山や森・林と馴染み、温泉を嗜み、谷や川や海を訪ねる旅が好きです。食文化も含めて「歴史と文化」に光を当て、体験・学習すると同時に、そのような光り輝くものを国外の人々にも観(み)てもらう工夫が大切だと思います。それが私たちの提唱する「ジオツアー」です。
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